行ってまいりました。
大妖怪展 江戸東京博物館 看板
大妖怪展 江戸東京博物館 チラシ

国宝《辟邪絵 神虫》や重要文化財《土蜘蛛草紙絵巻》、《百鬼夜行図》(8月2日より展示)などの貴重な絵画作品から伊藤若冲《付喪神図》、葛飾北斎や歌川国芳の妖怪画、幽霊画、土偶、果ては現代の「妖怪ウォッチ」まで、「妖怪」をテーマにした展示物が一堂に会した今回の展覧会。

江戸東京博物館が現在、金曜日の夜間は開館していない(7月29日から)ということで、日中の仕事を終えた後に立ち寄ることもできず、梅雨の明けきらない土曜日の日中に観覧に行ってまいりました。

少し嫌な予感はしていたのですが、自動ドアを開いて館内に入ると特別展示室前のチケット売り場は既に長蛇の列。
早々に退散して、3階のチケット売り場へエスカレーターで向かいました。

すると、1階ほどではないですが、3階の売り場もかなりの数の老若男女が並んでいました。
巷に妖怪ブームが来ているということなのでしょうか。
特別展のみを観覧希望の方はインターネットで事前にチケットを購入していくことをお勧めいたします。
(常設展との共通券は館内販売のみ。インターネットでの販売はありませんので注意。)

常設展との共通券を購入すると、エスカレーターで再び1階に戻り、特別展示室へむかいました。
入口前で傘の持ち込みはNGということで番号札を渡され、傘を預けることに。会場の周囲にも施錠式の傘立てはありましたが、ほとんどが既に埋まっていました。
入口左手にある無料のコインロッカー(100円を投入する必要がありますが開錠時には返却されます)に入れなくてはいけないような手荷物は他になかったのでそのまま展示室内へ。

入場までの待ち時間はなかったものの、展示室内は激混みでした。
ガラスケースの前には人だかりができ、それが順路に沿って奥へと蛇行しながら続いています。
展示室内の所々で通路が狭い箇所があるために列が渋滞し、誰もが展示物をじっくり観ようとケースを覗き込んでいるために列はなかなか前に進みません。
展示室を入ってすぐのケースに収められていた葛飾北斎の《天狗図》や伊藤若冲の《付喪神図》の前には人だかりが停滞していてなかなか最前列で観ることができませんでした。
以下の写真はポストカードの伊藤若冲筆《付喪神図》です。江戸時代の絵師とは思えないシュールなタッチですね。若冲はリアルからデフォルメまで様々なタッチで描くことができる天才絵師なのだと改めて感嘆しました。
伊藤若冲「付喪神図」

これではとてもじっくり作品を鑑賞することなど無理と早々に諦め、
今回どうしても観ておきたい2作品、国宝《辟邪絵 神虫》と重文《土蜘蛛草紙絵巻》にターゲットを絞ることにしました。
会場の奥に行くに従って徐々に人垣がまばらとなってきます。他の鑑賞者の迷惑にならないように人垣の合間にすばやくポジションを確保してなんとかこの2作品を観ることができました。
土蜘蛛草紙絵巻辟邪絵 神虫

特に《辟邪絵 神虫》(写真下)のインパクトは絶大で、黒い斑点の浮いた胴から伸びる腕で鬼を捕え、貪り喰う様は実にグロテスクでゾクゾクするほど美しい。大きく裂けた口の周りに煙る血しぶきが何とも生々しいです。

観覧者が渋滞しがちな会場の角に設置されたガラスケースの中に収めらている牛鬼の図も個人的には完成度が高いと感じました。保存状態も良く色彩も鮮やかです。

会場の奥では幽霊画までまとめて観ることができます。
特に円山応挙の幽霊画は不気味さでは一線を画していました。必見です。

会場の出口近くには遮光器土偶を筆頭に異形の土偶達が4体展示され、さらに現代の妖怪としてジバニャンをはじめとする「妖怪ウォッチ」のキャラクター・フィギュアが展示されていました。その脇には各キャラクターが現在のデザインに至るまでの試行錯誤の過程がボツも含めたラフ画によって展示されているのは興味深かったです。とはいえ、これらの展示は今回の展覧会のカラーからするとちょっと蛇足というか無理やりとってつけた「客寄せパンダ」感が否めません。夏休みをひかえて、大人から子供まで楽しめる展覧会を企画したのかもしれませんが、そのスペースがあるならもっと過去の貴重な妖怪画を展示してくれた方が展覧会の締めくくりとしては良い気がしました。現代の妖怪代表ということなら、「妖怪ウォッチ」よりも水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』の原画を展示してくれた方が私としては大興奮なわけですが。

鑑賞後はグッズ売り場にてポストカードの他に図録(カタログ)を購入しました。妖怪のおどろおどろしさとは無縁の赤と白を基調としたスタイリッシュな表紙です。
大妖怪展 図録 カタログ


グッズ売り場にはアメシンの飴細工職人の手による牛鬼と《百鬼夜行図》に登場する妖怪達の飴細工が展示されていました。その見事な出来栄えもお見逃しなく。

ご興味を抱かれた方は是非。

「大妖怪展」公式サイト
http://yo-kai2016.com/