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我が心と身体が捉えた美について

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行ってまいりました。
ダリ展 ポスター 国立新美術館 2016

そのデビューから晩年に至るまでの作品250点あまりが一堂に会した今回の「ダリ展」。
我が国ではおよそ10年ぶりの回顧展となり、過去最大規模ということで期待が高まりました。
その展示作品も名高いシュルレアリスム絵画にとどまらず、オブジェ、ジュエリー、書籍、舞台衣装のデザイン、映像までと実に幅広く、芸術家としてのダリの活動を俯瞰できる展覧会構成となっています。

美術の教科書で初めて目にしたあのグニャリと歪んだ時計に蟻の群がる絵はよく意味は分からないながらも、私も含め多くの人々にとって忘れがたい記憶として残っているのではないでしょうか。あのような奇想天外ともいえる発想は作者の頭のどこから出てきたのか、一見自己演出過多ともとれるヒゲの両端をピンと立て、ギョロリとした目でこちらを凝視するサルバドール・ダリの創作の秘密を垣間見ることができました。

中でも私が強く心惹かれたのは《奇妙なものたち》という油彩とコラージュの作品。
サイズの大きな絵ではないのですが、星の輝く夜の空間の中に置かれたソファや建物の壁が放つ鮮烈な赤が観るものをとらえて離しません。
描かれた謎だらけの「奇妙なものたち」を眺めながらいつの間にか絵の中の世界へと没入している自分を発見しました。現実ではないどこか異次元へと誘ってくれる、シュルレアリスムを代表する天才ダリの技量に思わず溜め息です。

その他には、映像作品としてディズニーとコラボしたアニメーションも一部ですが上映されており、こちらも二人の天才が互いの力を存分に発揮した素晴らしい作品となっています。必見です。

さらに原爆による広島・長崎、第五福竜丸、福島原発事故など核の脅威にさらされた世界に生きる我々にとって、実に重い主題を突きつけてくる油彩画《ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌》。
人間の愚かしさとグロテスクな欲望をダリはカンヴァスに見事に描き出しています。

さて、鑑賞後はグッズ売り場へ。
巨大な福引きマシンのようなものがお目見えです。
ダリ展 グッズ ピンバッジ 国立新美術館 ガチャ
係りの方に300円を払うと福引き券のようなダリ紙幣と交換してくれ、ハンドルを回すことができます。福引き機(?)の穴からレーンへと転がり落ちてくる白い卵型のカプセルをすかさずキャッチしましょう。中を開けると今回の展示作品をモティーフにしたピンバッジとシールが。
会場限定という言葉の誘惑に負けて3回ほど回してみました。欲しかった「歪んだ時計」が出ました。
ダリ展 グッズ ピンバッジ 国立新美術館 カプセル

そして、《奇妙なものたち》のポストカードも購入。
ダリ展 グッズ ポストカード 奇妙なものたち 国立新美術館


ご興味を抱かれた方は是非。
「ダリ展」公式サイト http://salvador-dali.jp/

行ってまいりました。
MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事 チラシ

衣服を着るとは「一枚の布をまとう」ことであるというコンセプトのもとに
三宅氏は今日に至るまで自らのデザインを追求してきました。

それは「服」という我々にとっての日用品、工業製品でありながら、
氏の高い志を具現化したアートでもあります。

今回の展覧会では「三宅一生の仕事」と題して、
氏のデザイナーとしての今日に至るまでの歩みを辿ることのできる
三部構成となっています。

展覧会の開催に合わせて、
スマートフォン用のアプリ(無料)とオーディオガイド(500円)が
配信されています。

オーディオガイドは会場の外でも解説を楽しむことができるので、
改めて展示作品をを振り返る際に便利です。

下記はアプリ(Android用)のトップページです。
MIYAKE ISSEY展 アプリ トップページ

アプリを起動して展覧会のチラシに向けると、三宅氏の服を纏ったヴァーチャル・モデルが現れ、
様々なポーズをとります。
下記のように写真撮影も可能です。
MIYAKE ISSEY展 アプリ チラシ 3D ヴァーチャル モデル

展覧会のサイトに表示されたチラシ見本でも読み取れました。
MIYAKE ISSEY展 アプリ チラシ 3D ヴァーチャル
会場に入ると、三宅氏の作り出す色彩と形の独創性と美しさに圧倒されました。

「一枚の布」というコンセプトを頑ななまでに真摯に追求すると、
見慣れているはずの衣服も芸術となるのだなと深く感動しました。

馬の尾の毛を用いて作られた服はまるで風を含んだ羽衣のように
緩やかな襞をつくりつつマネキンの身体を軽やかに包んでいます。
服の向こうに尾をなびかせて草原を疾走する馬の姿が浮かんできました。

他にも会場内には
最新のテクノロジーを用いて作られた一本の糸から直接作られる服や
プリーツを織る機械が設置され、実演もされています。

中でも「132 5. ISSEY MIYAKE」と題された服には驚きました。
折りたたむと星形や五角形などの一枚の布になるのですが、
人間の身体が纏うと立体的な衣服が立ち現れてきます。
まさに三宅氏が追求してきた「一枚の布を纏う」というコンセプトとテクノロジーが
融合したアートと言えます。
ちなみにタイトルの「132 5」という数字は、
「1」が一枚の布、「3」が衣服としての三次元立体構造、「2」は畳まれた平面、
「5」は身に纏うことにより時間と次元を超えた存在になることを意味しているそうです。
こちらの「132 5」シリーズの展示の傍には、
VTRの手順を参考にしながらミニチュアの服を小さなマネキンに着せることができるコーナーが設けられています。折り畳まれた一枚の布が立体的な美しい服に変化する不思議を実体験してみると新たな感動が生まれるかもしれません。

会場の出口付近には三宅氏の服を使った映像作品も上映されています。
壁一面の巨大スクリーンに投影されているのですが
思わず時を忘れて見入ってしまうほどにシュールで美しい作品です。

展覧会場の外のショップでは、
図録やTシャツ、バッグ、缶バッチ、ハガキなどのグッズが売られています。
図録とハンカチを購入しました。
MIYAKE ISSEY展 図録 カタログ

MIYAKE ISSEY展 グッズ ハンカチ

ご興味を抱かれた方は是非。

三宅一生展公式サイト
http://2016.miyakeissey.org

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