本日(5月28日)が公開初日ということで、TOHOシネマズ錦糸町にて鑑賞いたしました。
映画『手をつないでかえろうよ』劇場前  ポスター

昨年同日に大腸癌のために逝去された俳優の今井雅之さんが企画・脚本・主演を務めた舞台劇の映画化が今作品ですが、奈良橋陽子氏が監督を引き受け、出演者、スタッフが今井さんの遺志を継いで一致団結して完成に漕ぎ着けました。たいへん残念なことに今井さんの遺作となってしまった今作ですが、病状を伝える記者会見でも「映画が完成するまでは生きていたい」と声を振り絞って仰っていた今井さんの姿が印象的でした。

創作に命をかける者にとって、作品の完成を見届けることなく、未完成のまま自らの命が尽きてしまうというのは、とてつもなく無念で悔しいことだと思います。

あれほど屈強な肉体と精神を持ち合わせていた今井さんが会見で見せた涙に、その無念さが集約されていました。

しかし、今井さんの夢であった映画は、監督、スタッフ、出演者が一致協力することで完成し、本日、今井さんがこの世を旅立たれてちょうど一年後に公開されました。まさに今井さんの生前の人徳が人々を動かし、ひとつの夢が形になったのだと思うと感慨深いです。

映画の内容に関してはネタバレになってしまうので詳しくは申し上げられないのですが、生きることや死ぬこと、人を愛する大切さやなぜ人は争うのかについてという深いメッセージを随所に散りばめながらも決して説教くささや重苦しさを感じさせないとても爽やかかつ心温まるロード・ムービーでした。

今井さんが命を燃やして最後に伝えたかったメッセージ、「どんな逆境の最中にあっても人生を諦めることなく、夢を持って日々を精一杯生きること」が静かな感動とともに胸に去来しました。

出演者の皆さんの演技も素晴らしく、映画の世界に引き込まれ、あっという間の107分でした。

映画鑑賞後の舞台挨拶で奈良橋陽子監督が、「彼(今井さん)の人生をしっかりと祝福してあげたかったのです。夢は思い続ければ必ず叶います」とすっきりとした表情で仰られた姿が深く心に残りました。

以下の写真は映画公開後の初日舞台挨拶の様子です。
映画『手をつないでかえろうよ』 公開初日 舞台挨拶 出演者一同
座席が遠かったためにボケてしまっていますが、監督と出演者の皆さんはどなたも今井さんを偲びながらも、作品を完成させた達成感と充実感に溢れた素敵な表情をされていました。


ご興味を抱かれた方は是非。

『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』公式サイト
http://www.teotsunaidekaerouyo.com/

Let's go for it!
今井 雅之
岩波書店
2016-05-13