行ってまいりました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポスター
5月の連休を利用してパリの美術館をめぐってまいりました。
その旅の様子はのちほど語らせて頂くことにいたしまして、
今回はオルセー美術館で現在開催中(2016年3月22日〜7月17日まで)のアンリ・ルソー展の模様をお伝えしたいと思います。

幸いなことに旅行中は晴天に恵まれ、
オルセーを朝(8時半ごろ)に訪れた際もすっきりとした青空が広がっていました。
オルセー美術館 外観 セーヌ川
美術館正面に掲げられたオルセーのロゴとルソー展の看板。
雲ひとつない青空と眩しい陽射しの下、
オレンジとグリーンが鮮やかに映え、期待に胸が高鳴ります。
オルセー美術館 正面

まだ開館時刻(9時半)まで40分ほどありましたが、すでにかなりの人々が入口前で列をつくって開館を待っていました。さすがルーヴルに次ぐパリの人気美術館ですね。
入館口は左手からA~Dまで分かれているのですが、
ミュージアム・パスを購入済みだった私は右端Dの優先入口へ並びました。
パリ・ミュージアム・パス 4日間用 表紙
こちらが「パリ・ミュージアム・パス(4日用)」です。財布のポケットに入れていたためにボロボロですが。
ご存知の方も多いと思いますが、こちらのパスを所持していれば有効期間中(2日用、4日用、6日用の3種類。いずれも連続した日数により使用可。)はパリの主要な美術館や博物館、観光名所が利用し放題になります。(ただし、美術館は常設展のみ有効の場合が多い。企画展は別途料金が必要な場合もあるので注意。)パリの美術館めぐりには必須のアイテムです。
日本でも購入できます。
現地で買おうとすると場所によっては売り切れている場合もあるので、
パリ旅行は初めてという方や現地でフランス語を駆使して購入するのは不安という方は
あらかじめ日本で購入していく方が安心かもしれません。
以下のサイトで購入できます。
http://www.parismuseumpass-japon.com

さて、ようやく開館時刻となり、列が前へ動き始め、観覧客が次々と回転ドアの奥へと入っていきます。その流れに従って館内へ。
入って直ぐ正面に荷物検査のゲートが2列、設置されていました。
日本の美術館に慣れきっていた私は、
荷物検査といってもバッグの中身をチラリと見せるくらいだろうと高を括っておりました。
ところが目の前に設置されているのは空港のような本格的な金属探知機のゲート。
財布やら腕時計、スマートフォンなど身につけていた貴金属はすべて外してトレーに載せ、係員に差し出します。
ここでちょっともたつくと強面の男性職員に「携帯電話は? 全部だ、全部出すんだ!」と
高圧的に言われ、正直少しムッとしました。
まぁ、毎日同じようなことを言い続けているのでしょうから嫌気がさすのは分かりますが、
お客さんにむけてその態度はないだろうと内心毒づきながらゲートを通過しました。
皆様も態度の悪い係員がいても、ここはグッと堪えて穏便に指示に従いましょう。
とにかく我々の目的はゲートの先にある素晴らしい芸術品の数々を鑑賞することで、
係員と無駄な言い争いをする時間と労力は残されていません。
とはいえ、日本の美術館職員の接客マナーの素晴らしさとつい比較してしまうわけですが。

気を取り直して、さっそく企画展示スペースにて開催されている「ルソー展」へ。
以下は入口に置いてあった無料配布の冊子です。
中には今回の展覧会の概要と展示見取図が記されていました。
ちなみにこちらはフランス語版。英語版はありましたが、日本語版はありませんでした。
アンリ・ルソー展 Le Douanier Rousseau 2016 冊子

「税官吏ルソー」と名付けられた今回の展覧会。
ご存知の通り、ルソーは41歳で本格的に画家として人生を歩む以前は「税官吏」として働きながら趣味で絵を描くいわゆる「日曜画家」でした。果敢にサロンへ作品を出品するも、その独学による自由な画風から当時の保守的な鑑賞者や批評家からは酷評され、散々こき下ろされました。
その当時としては異色かつ遅咲きの画家のデビューから晩年までを作品を通して辿ることのできる展覧会の構成となっています。

《戦争》と題された作品もルソーが描くとどこかノスタルジックかつファンタジックに。
画集などでは何度か目にしてはいましたが、実物は鮮やかな色彩が目を引きました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポストカード 戦争

そして、なんといっても《蛇使いの女》と題された絵の放つ色彩と神秘に心を奪われました。
この絵が観たくてオルセーに来たといっても過言ではありません。
深く澄んだグリーンのグラデーション……空に浮かぶ銀色の満月……。
さざ波のたつ水辺のほとりで蛇を首に巻いた褐色の肌の女が静かに笛を吹く。
その笛の音に誘われるように密林の中から姿を現わす大蛇……。
この絵に描かれた森は息づいています。
時を忘れて絵の前に佇んでいると、自分がいつしか絵の中の密林に彷徨い込み、
蛇使いの女の奏でる調べに心を奪われてしまっているかのような錯覚を起こします。
アンリ・ルソー展 2016 グッズ ポストカード 蛇使いの女

さらに今回の展覧会の目玉ともいえるもう一つの傑作。
ニューヨーク近代美術館所蔵の《夢》です。
まさに画家自身の心の中に広がる原色の森をキャンバスに描き出したといえる素晴らしい絵画でした。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポストカード 夢

会場を出た先がグッズ売場となっていました。
さっそくポストカードを購入。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 グッズ ポストカード
さらに以下のペーパーウェイト(19ユーロ)の美しさに心惹かれて思わず購入しました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 グッズ ペーパーウエイト


ご興味を抱かれた方は是非。

オルセー美術館公式サイト
http://www.musee-orsay.fr/en/home.html



この度、パリの美術館案内をAmazon Kindleにて出版致しました。
パリ旅行のお供に是非。



下記YouTubeサイトにて本の紹介動画も公開中です。