行ってまいりました。
没後100年 宮川香山展 サントリー美術館 チラシ

時は明治。新政府が外貨獲得のために新たな輸出品として陶磁器に注目しだした時代。
日本が世界に誇れる工芸品を生み出すにはどうすべきかを追求し、その驚異的とも言える技術と大胆な表現で世界を魅了した一人の陶芸家がいました。その名は、宮川香山。
今回の展覧会では、香山研究の第一人者である田邊哲人氏のコレクションを中心に、世界中から香山の名品が里帰りをしています。宮川香山の初期から晩年までの陶芸家としての歩みを辿ることのできる充実の内容です。

会場の入口を入るとまず目に飛び込んでくるのは、
巨大な二匹の蟹が歪んだ花瓶に折り重なるように張り付いた大作、《高取釉高浮彫蟹花瓶》。
ガラスケースの周りを360度巡りながら目が釘付けに。
立体作品の良いところはあらゆる角度から鑑賞できることですね。
見る角度によってまったく異なる景色が展開します。
こちらは高浮彫と釉下彩を両方用いたとても高度な焼成技術による、
まさに香山の作陶の集大成ともいえる傑作です。
下の写真は図録の表紙に掲載されているものです。
没後100年 宮川香山展 図録 裏

そのあとは、会場の奥へと行くに従って香山の初期作品から高浮彫へと展示が続き、
動植物や幻獣などの緻密な高浮彫に溜め息の連続でした。
ウズラの羽根の質感や枯れた蓮の葉のリアリティ、花瓶の胴部をえぐって熊の親子が戯れる洞穴を表現するなど、その発想の豊かさとそれを支える超絶技巧に唸らされるばかりです。

館内には撮影可能エリアも設けられています。
以下はその写真です。
宮川香山展 会場内 写真撮影可能エリア 01
宮川香山展 会場内 写真撮影可能エリア 02
宮川香山展 会場内 写真撮影可能エリア 03
宮川香山展 会場内 写真撮影可能エリア 04
宮川香山展 会場内 写真撮影可能エリア 05

撮影可能エリアを過ぎると、
香山の生涯と作品を紹介する映像コーナーの脇を通り、磁器の展示室へ。
超絶技巧を駆使した高浮彫の陶器により世界を驚嘆させた香山ですが、
さらなる表現の高みを目指して、磁器の生産にも着手します。
窯の経営を子に譲り、研究開発に没頭することで、新たな美を生み出しました。

それらの中でも私が心を奪われた一品は、《釉下彩紫陽花図花瓶》です。
紫陽花の花弁が透彫りと透明釉により表現されていて、照明の下で美しく照り輝いていました。
花瓶の内側を除くと、外側からの光が花弁の形に透けて見え、高度な焼成技術を垣間見ることができます。

満ち足りた気持ちで会場を後にすると、グッズ売り場へ。
《眠猫覚醒蓋付水指》の猫を使った根付(800円)と図録を購入しました。
没後100年宮川香山展 グッズ 眠猫覚醒蓋付水指 根付
没後100年 宮川香山展 図録 表紙オモテ

ご興味を抱かれた方は是非。

宮川香山展公式サイト
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_1/