nakaji art

我が心と身体が捉えた美について

2016年06月

行ってまいりました。
出光美術館 美の祝典 江戸絵画の華やぎ 開館50周年 チラシ表
出光美術館 美の祝典 江戸絵画の華やぎ 開館50周年 チラシ裏
出光美術館 入口 美の祝典 江戸絵画の華やぎ 開館50周年記念

開館50周年の特別展「美の祝典」を締めくくる第三部として、江戸絵画を中心に展示構成された今回の展覧会。
残念ながら前二部はなかなか行くタイミングが合わず、第三部のみの観覧となりましたが、
とても充実した内容の展覧会でした。

まず必見なのは、10年ぶりの公開となる国宝「伴大納言絵巻」。
第一部から三部までの開期中(1ヶ月ごと)に合わせて上・中・下巻が順次、展示されていたのですが、今回は物語の終結部の描かれた下巻の展示となります。

実物を鑑賞する前にかなり詳しい解説のパネルがあるので、まったく予備知識のない方でも絵巻を楽しむことができます。
絵巻自体は経年によって所々かすんでしまって見えない箇所もありますが、紙本に着色ということを考えれば保存状態は良好で、右から左へと展開する繊細な描線と美しい着彩で綴られた絵物語を堪能することができます。人々の喜怒哀楽も実に細かく丁寧に描写されていて、思わず何度も最初から最後まで繰り返し観てしまいました。
モノキュラー(単眼鏡)を持参して行かれると細部まで鑑賞することができると思います。

さて、今回の展覧会の目玉は《伴大納言絵巻》だけではありません。
展示空間自体はワンフロアのみと決して広いとはいえないのですが、重要文化財である喜多川歌麿の肉筆美人画《更衣美人図》をはじめ、《祇園祭礼図屏風》、《江戸名所図屏風》、当時の西欧人が南蛮船で来航した様子を描いた《南蛮屏風》、酒井抱一の《紅白梅図屏風》、《風神雷神図屏風》、《八ツ橋図屏風》、鈴木其一の《四季花木図屏風》、野々村仁清のやきものなど、同美術館の所蔵する珠玉のコレクションが目白押しです。

中でも私が心を奪われたのは、酒井抱一筆《十二ヵ月花鳥図貼付屏風》で、
1月から12月までの四季の移ろいをそれぞれの季節を象徴する植物と生き物によって描き出した六曲一双の屏風です。そこに描かれた花や昆虫、小鳥の姿が実に色鮮やかで美しい。

鑑賞後は窓の外に広がる皇居の堀を眺めながら無料サービスの冷たい緑茶を飲んで一服。この絶景とお茶が無料で味わえるというのはさすが出光ですね。

ミュージアム・ショップはポストカードや書籍類が充実していました。
《十二ヵ月花鳥図貼付屏風》をモチーフにした金属製の蜻蛉のしおりと美術館オリジナルグッズである蒔絵の香合の美しさに惹かれて購入いたしました。
出光美術館 美の祝典 江戸絵画の華やぎ  グッズ しおり

ご興味を抱かれた方は是非。

出光美術館(東京本館)Webサイト
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/index.html

この度、LINE用アニメーション(動く)スタンプ第1弾として、
 「昆虫OL ザムザさん」の販売を開始致しました。

下記URLをクリックして頂くとLINEストア内の販売ページへとジャンプ致します。

「昆虫OL ザムザさん」アニメーション・スタンプ販売ページ
http://line.me/S/sticker/1290499

ご興味を抱かれた方は是非。
一人でも多くの方に楽しんで頂けましたら幸いです。

以前にも告知させて頂きましたが、
下記YouTubeのマイ チャンネルにてスタンプの紹介動画も公開しております。
ご興味を抱かれた方はこちらも合わせてチェック頂けたら嬉しいです。

 

ちなみに、こちらの動画はリリース前に作成したもので、
現在ストア内で販売されている正規スタンプとは容量の関係でキャラクターの動作やセリフ、色彩設定が多少異なりますことをご了承ください。
 

行ってまいりました。
ふたつの柱 江戸絵画/現代美術をめぐる チラシ オモテ
ふたつの柱 江戸絵画/現代美術をめぐる チラシ 裏

今年は伊藤若冲生誕300年ということで、日本各地で若冲作品の展示を楽しむことができます。
東京都美術館の異常ともいえる激混みぶりに今回の鑑賞を見送られた方も多いのではないかと思います。

6月1日から千葉市美術館で同館が所蔵する若冲の墨絵《雷神図》、《寿老人・孔雀・菊図》、さらに木版摺《乗興舟》が展示されるということでさっそく鑑賞に。

JR千葉駅の東口から徒歩で美術館へむかいました。
駅前のバスターミナル前からぐるりと右手へ進むと道々に美術館への案内標識が現れます。
この赤い標識に従って15分ほど歩くと迷うことなく美術館へとたどり着くことができました。
千葉市美術館 道案内 標識01

千葉市美術館 道案内 標識02

千葉市美術館 道案内 標識03

千葉市美術館 道案内 標識04

千葉市美術館 建物 外観 ふたつの柱 江戸絵画?現代美術をめぐる

チケット売り場と第1展示室は8階です。
エレベーターで向かいます。

一般料金は200円。安いですね。
道案内の標識と同じ色の赤いチケットを受け取ります。

館内の撮影は禁止。
開館時刻である午前10時少し前に着いたのですが、観覧客は自分をふくめて2、3人しかおらず、
貸し切り状態のような静かな館内を進みながら作品鑑賞を堪能できました。

同美術館の所蔵する江戸絵画と現代美術のコレクションをひとつの空間に同時に展示するという展示方法が実に斬新で、作品たちが不思議な調和を奏でながら観る者を美の世界に誘います。
まさに展覧会のタイトルにあるとおり時間も空間も超えた美をめぐる旅でした。

中でも美人画で名高い喜多川歌麿が挿し絵を描いた《画本虫撰》の美しさに目を奪われました。
幕末の土佐の絵師として名高い河田小龍の絵画も初めて目にしました。

若冲の墨絵《雷神図》には意表をつかれました。
伊藤若冲の絵というとあの超絶技巧と細密描写ばかりが頭に浮かび、少し身構えてしまっていたのですが、
この《雷神図》は実に可愛らしい墨絵です。
童子のような雷神が太鼓を片手に暗雲から雷とともに真っ逆さまに空から落ちてきています。
そのおどけたような少しとぼけた表情がなんともいえず愛くるしい。
こんなにコミカルな絵も描ける若冲の表現の幅の広さには唸るばかりです。
一見勢いにまかせて描いているようですが、太鼓の木目の美しさや雷神の腕や脚の描写の巧みさ、黒い一陣の風のような雷雲の描写など若冲らしさも光っています。

その隣りに展示されていた曾我蕭白の《獅子虎図屏風》の自由闊達かつ迫力ある筆さばきとまるで漫画の原点のような滑稽さは観る者を釘づけにします。東京国立博物館で開催されていたボストン美術館展でかつて観た《雲龍図》の素晴らしさがふと脳裏をよぎりました。奇想の絵師の二大競演ともいえるこの展示室を去りがたく、しばらく留まってしまいました。

もうひとつの若冲の墨絵、《寿老人・孔雀・菊図》では筋目描きという技法を観て楽しむことができます。
「筋目描き」とは、紙(絹本)の上で墨と墨をぼかした際に隣り合う墨同士が自然につくり出す境目を利用した絵画技法のことで、若冲はこの技法を使って鳥の羽を描くことを好みました。特に孔雀図の羽と羽の境目に細く残った白い糸のような美しい余白にご注目いただけるとこの技法の素晴らしさがわかっていただけると思います。

さらに若冲が画を手掛けた木版摺りの《乗興舟》ですが、こちらは最後の展示室の出口付近に展示されており、私が訪れたときは誰もいなかったために間近で見放題でした。東京都美術館では人だかりが凄くて近くでとても観れなかったという方はこの機会にじっくりと鑑賞できるのでオススメです。

そして、私が特に興味を惹かれた現代美術作品は、
ダン・グレアム氏の《円形の入口のある三角柱(ヴァリエーションE)》という作品です。
これは葛飾北斎の《冨嶽三十六景》や円山応挙の《富士三保図屏風》とともに広い室内の只中に展示されているのですが、それぞれの三角柱の面には巨大な丸い鏡がはめ込まれており、そこに映る空間の変化を鑑賞者が体験することで自らの空間認識に揺さぶりをかけるという作品で、思わず頭に「?」を浮かべたままその周りを何度も巡ってしまいます。

さて、作品鑑賞を終えると、展示室の入口で手に取った「鑑賞カード」を8階の受付に返却し、簡単なアンケートにこたえると下記のような缶バッジ(※写真は若冲の《孔雀図》ですが、数種の中から好きなものをひとつ選ぶことができます。)が景品としてもらえます。
「鑑賞カード」というのは、今回の展覧会をより楽しんでもらおうと美術館が企画・制作したカードで、展示室の所々に貼られた目印を探しながら案内にしたがって作品を鑑賞してゴールにたどりつくという簡単なオリエンテーションです。対象年齢が小学校3年生以上とカードに明記されていたので、基本はお子様向けですが、大人でも十分楽しめます。お時間に余裕のある方は挑戦してみると、より作品鑑賞が楽しめるかもしれません。
ふたつの柱 江戸絵画/現代美術をめぐる 缶バッジ 若冲

以下はミュージアム・ショップで購入したグッズです。

まずは《雷神図》のロングサイズのポストカードから。150円。
伊藤若冲 雷神図 千葉市美術館 グッズ ポストカード


さらに今回の展示作品である《獅子虎図屏風》のグリーティング・カード(左)と喜多川歌麿の《画本虫撰》の復刻豆本(右)。
千葉市美術館 グッズ 曾我蕭白 獅子虎図屏風 画本虫撰 豆本


ご興味を抱かれた方は是非。

千葉市美術館Webサイト
http://www.ccma-net.jp/

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