nakaji art

我が心と身体が捉えた美について

2016年05月

本日(5月28日)が公開初日ということで、TOHOシネマズ錦糸町にて鑑賞いたしました。
映画『手をつないでかえろうよ』劇場前  ポスター

昨年同日に大腸癌のために逝去された俳優の今井雅之さんが企画・脚本・主演を務めた舞台劇の映画化が今作品ですが、奈良橋陽子氏が監督を引き受け、出演者、スタッフが今井さんの遺志を継いで一致団結して完成に漕ぎ着けました。たいへん残念なことに今井さんの遺作となってしまった今作ですが、病状を伝える記者会見でも「映画が完成するまでは生きていたい」と声を振り絞って仰っていた今井さんの姿が印象的でした。

創作に命をかける者にとって、作品の完成を見届けることなく、未完成のまま自らの命が尽きてしまうというのは、とてつもなく無念で悔しいことだと思います。

あれほど屈強な肉体と精神を持ち合わせていた今井さんが会見で見せた涙に、その無念さが集約されていました。

しかし、今井さんの夢であった映画は、監督、スタッフ、出演者が一致協力することで完成し、本日、今井さんがこの世を旅立たれてちょうど一年後に公開されました。まさに今井さんの生前の人徳が人々を動かし、ひとつの夢が形になったのだと思うと感慨深いです。

映画の内容に関してはネタバレになってしまうので詳しくは申し上げられないのですが、生きることや死ぬこと、人を愛する大切さやなぜ人は争うのかについてという深いメッセージを随所に散りばめながらも決して説教くささや重苦しさを感じさせないとても爽やかかつ心温まるロード・ムービーでした。

今井さんが命を燃やして最後に伝えたかったメッセージ、「どんな逆境の最中にあっても人生を諦めることなく、夢を持って日々を精一杯生きること」が静かな感動とともに胸に去来しました。

出演者の皆さんの演技も素晴らしく、映画の世界に引き込まれ、あっという間の107分でした。

映画鑑賞後の舞台挨拶で奈良橋陽子監督が、「彼(今井さん)の人生をしっかりと祝福してあげたかったのです。夢は思い続ければ必ず叶います」とすっきりとした表情で仰られた姿が深く心に残りました。

以下の写真は映画公開後の初日舞台挨拶の様子です。
映画『手をつないでかえろうよ』 公開初日 舞台挨拶 出演者一同
座席が遠かったためにボケてしまっていますが、監督と出演者の皆さんはどなたも今井さんを偲びながらも、作品を完成させた達成感と充実感に溢れた素敵な表情をされていました。


ご興味を抱かれた方は是非。

『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』公式サイト
http://www.teotsunaidekaerouyo.com/

Let's go for it!
今井 雅之
岩波書店
2016-05-13

スウェーデンを代表する陶芸作家、リサ・ラーソン(Lisa Larson)とハイクオリティなフィギュア制作で名高い海洋堂がコラボしたガチャガチャが発売されたということで、さっそく回してみました。1回500円。
リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ カプセル 2
リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ カプセル
カプセルのイエローと水色が美しくて捨ててしまうのがもったいなくなりました。

中には解説の小冊子と少し小さいですが、ハイクオリティなフィギュアが一体入っています。全5種類。
リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ フィギュア

リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ ネコ ミア
MIA (ミア) (ブラウン)。丸い体つきが可愛らしい。

リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ ライオン
LION(ライオン)。素朴で何とも言えない表情です。見ているだけで癒されます。

リサ・ラーソン ミニチュア 海洋堂 ガチャガチャ ハリネズミ イギー
HEDGEHOG(ハリネズミ)のIGGY(イギー)。
今にも鼻先がクンクンと動き出しそうです。


ご興味を抱かれた方は是非。

リサ・ラーソン公式サイト
http://www.lisalarson.jp

海洋堂カプセルQ リサ・ラーソン紹介ページ
http://kaiyodo.co.jp/items/capsuleq/lisalarson/

行ってまいりました。
ピクサー展 東京都現代美術館 モンスターズインク 展示
「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」「モンスターズ・インク」「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」など素晴らしいCGアニメーションを次々と世界に送り出すピクサー・アニメーション。スタジオ設立30周年の節目となる今年、東京都現代美術館にて展覧会が開催されています(5月29日まで)。

ピクサー展 東京都現代美術館 看板 
今回の展覧会では、コンピューターアニメーションの制作過程を会場に設置されたモニターで映像により紹介しつつ、その構想段階でスタジオ在籍のアーティストが描いた美しいパステル画やドローイングも展示されています。静止画にもかかわらず、どのキャラクターの表情や動作も実に生き生きとしており、アニメーションの世界観を伝える想像力あふれる背景とともに楽しむことができます。

さらに会場の所々にはスクリーンが設置されており、そこでは短編アニメーションが上映されていました。アニメーションの原理を知ることのできる「トイ・ストーリー ゾートロープ」は何とも不思議で思わず見入ってしまいました。

キャラクターに命を吹き込むというのは、ただ技術力だけでは成し得るものではなく、やはり何度も紙に鉛筆を走らせるというアナログな試行錯誤を経て初めて成し得るものなのだと改めて実感しました。

鑑賞後はグッズ売場にて展覧会カタログを購入。
ピクサー展 東京都現代美術館 グッズ 展覧会 カタログ 図録

時間を見つけて、もう一度、ピクサー作品を第1作目からじっくり観返してみたくなりました。

ピクサー展の鑑賞後は「コレクション・オンゴーイング」展会場へ移動し、ウォーホル、ホックニー、リキテンシュタインやクーニングをはじめとする美術館所蔵の現代美術のコレクションを堪能しました。辰野登恵子、豊嶋康子両氏の特集展示が特に素晴らしく、見応えがあります。

東京都現代美術館ですが、5月29日の展覧会終了後は大規模な改装工事のため休館となるそうです。
今回の企画展と合わせてMOTコレクションを今一度見直す良い機会かもしれません。
東京都現代美術館 ピクサー展 外観

ご興味を抱かれた方は是非。

ピクサー展 公式サイト
http://pxr30.jp/highlights/

行ってまいりました。
サントリー美術館 広重ビビッド 入口

日本財界の重鎮、日本化薬株式会社元会長だった原安三郎の蒐集した浮世絵コレクションのうち、歌川広重の代表作〈名所江戸百景〉および〈六十余州名所図会〉を堪能できる今回の展覧会。
しかも、展示されているのは摺りの手数を簡略化したいわゆる普及版の「後摺(あとずり)」ではなく、貴重な「初摺(しょずり)」のなかでも初期のもの。初摺の行程では、広重と摺師が色彩や摺りについて綿密なやりとりをしながら制作が進められ、広重の作品に対する思いや意図、技法などが隅々に至るまで妥協なく表現されています。また版木が摩滅していないために摺りの線がくっきり鮮明で、色彩も鮮やかです。さらに、保存状態が極めて良好なため、退色が少なく藍色のぼけも美しい。
さらに、本展では葛飾北斎や歌川国芳の名所絵も展示されていました。北斎の有名な《神奈川沖浪裏》や《赤富士》はもちろん、現存数の少ない〈千絵の海〉が10図すべて揃うのも見どころです。

広重の構図の切り取り方は実に大胆で、前景から後景への奥行きのある画面は思わず絵の大きさを忘れてしまうほどの空間の広がりを感じさせ、見飽きることがありません。

私の一番のお気に入りは、出口付近に展示されていた〈名所江戸百景〉のうちの《大晦日の狐火》という作品です。
一見、広重らしくない作品なのですが、狐と狐火が群れ集う真夜中の晦日の風景が実に妖しくも美しく表されていました。細部に至る妥協のない精密さはこの作品に対する広重の気迫がみなぎっているように感じられました。

展示を見終えると、グッズ売場へ。
広重ビビッド 図録 カタログ 歌川広重 サントリー美術館
図録は装丁も美しいですが、内容が充実しています。本展を開催するにあたり、〈名所江戸百景〉ならびに〈六十余州名所図会〉について描かれた場所の現地取材が行われたそうです。展示の際にも広重の作品と現在の写真が並べられて設置されており、両者を見比べながら楽しむことができました。図録にも現在の風景写真が収録されているので、比較を楽しみつつ、広重の視線で現代の風景を改めて眺めることで新たな「美」の気づきが得られるかもしれ ません。実際にその場所に立って景色を眺めてみるのも楽しそうです。

広重ビビッド 歌川広重 サントリー美術館 葛飾北斎 グッズ しおり
こちらはグッズ売場にて購入したしおりです。
しおりを傾けると、北斎の《神奈川沖浪裏》の大波がうねるように動くユニークな一品。ドイツ製。


ご興味を抱かれた方は是非。

広重ビビッド展 公式サイト
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_2/

行ってまいりました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポスター
5月の連休を利用してパリの美術館をめぐってまいりました。
その旅の様子はのちほど語らせて頂くことにいたしまして、
今回はオルセー美術館で現在開催中(2016年3月22日〜7月17日まで)のアンリ・ルソー展の模様をお伝えしたいと思います。

幸いなことに旅行中は晴天に恵まれ、
オルセーを朝(8時半ごろ)に訪れた際もすっきりとした青空が広がっていました。
オルセー美術館 外観 セーヌ川
美術館正面に掲げられたオルセーのロゴとルソー展の看板。
雲ひとつない青空と眩しい陽射しの下、
オレンジとグリーンが鮮やかに映え、期待に胸が高鳴ります。
オルセー美術館 正面

まだ開館時刻(9時半)まで40分ほどありましたが、すでにかなりの人々が入口前で列をつくって開館を待っていました。さすがルーヴルに次ぐパリの人気美術館ですね。
入館口は左手からA~Dまで分かれているのですが、
ミュージアム・パスを購入済みだった私は右端Dの優先入口へ並びました。
パリ・ミュージアム・パス 4日間用 表紙
こちらが「パリ・ミュージアム・パス(4日用)」です。財布のポケットに入れていたためにボロボロですが。
ご存知の方も多いと思いますが、こちらのパスを所持していれば有効期間中(2日用、4日用、6日用の3種類。いずれも連続した日数により使用可。)はパリの主要な美術館や博物館、観光名所が利用し放題になります。(ただし、美術館は常設展のみ有効の場合が多い。企画展は別途料金が必要な場合もあるので注意。)パリの美術館めぐりには必須のアイテムです。
日本でも購入できます。
現地で買おうとすると場所によっては売り切れている場合もあるので、
パリ旅行は初めてという方や現地でフランス語を駆使して購入するのは不安という方は
あらかじめ日本で購入していく方が安心かもしれません。
以下のサイトで購入できます。
http://www.parismuseumpass-japon.com

さて、ようやく開館時刻となり、列が前へ動き始め、観覧客が次々と回転ドアの奥へと入っていきます。その流れに従って館内へ。
入って直ぐ正面に荷物検査のゲートが2列、設置されていました。
日本の美術館に慣れきっていた私は、
荷物検査といってもバッグの中身をチラリと見せるくらいだろうと高を括っておりました。
ところが目の前に設置されているのは空港のような本格的な金属探知機のゲート。
財布やら腕時計、スマートフォンなど身につけていた貴金属はすべて外してトレーに載せ、係員に差し出します。
ここでちょっともたつくと強面の男性職員に「携帯電話は? 全部だ、全部出すんだ!」と
高圧的に言われ、正直少しムッとしました。
まぁ、毎日同じようなことを言い続けているのでしょうから嫌気がさすのは分かりますが、
お客さんにむけてその態度はないだろうと内心毒づきながらゲートを通過しました。
皆様も態度の悪い係員がいても、ここはグッと堪えて穏便に指示に従いましょう。
とにかく我々の目的はゲートの先にある素晴らしい芸術品の数々を鑑賞することで、
係員と無駄な言い争いをする時間と労力は残されていません。
とはいえ、日本の美術館職員の接客マナーの素晴らしさとつい比較してしまうわけですが。

気を取り直して、さっそく企画展示スペースにて開催されている「ルソー展」へ。
以下は入口に置いてあった無料配布の冊子です。
中には今回の展覧会の概要と展示見取図が記されていました。
ちなみにこちらはフランス語版。英語版はありましたが、日本語版はありませんでした。
アンリ・ルソー展 Le Douanier Rousseau 2016 冊子

「税官吏ルソー」と名付けられた今回の展覧会。
ご存知の通り、ルソーは41歳で本格的に画家として人生を歩む以前は「税官吏」として働きながら趣味で絵を描くいわゆる「日曜画家」でした。果敢にサロンへ作品を出品するも、その独学による自由な画風から当時の保守的な鑑賞者や批評家からは酷評され、散々こき下ろされました。
その当時としては異色かつ遅咲きの画家のデビューから晩年までを作品を通して辿ることのできる展覧会の構成となっています。

《戦争》と題された作品もルソーが描くとどこかノスタルジックかつファンタジックに。
画集などでは何度か目にしてはいましたが、実物は鮮やかな色彩が目を引きました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポストカード 戦争

そして、なんといっても《蛇使いの女》と題された絵の放つ色彩と神秘に心を奪われました。
この絵が観たくてオルセーに来たといっても過言ではありません。
深く澄んだグリーンのグラデーション……空に浮かぶ銀色の満月……。
さざ波のたつ水辺のほとりで蛇を首に巻いた褐色の肌の女が静かに笛を吹く。
その笛の音に誘われるように密林の中から姿を現わす大蛇……。
この絵に描かれた森は息づいています。
時を忘れて絵の前に佇んでいると、自分がいつしか絵の中の密林に彷徨い込み、
蛇使いの女の奏でる調べに心を奪われてしまっているかのような錯覚を起こします。
アンリ・ルソー展 2016 グッズ ポストカード 蛇使いの女

さらに今回の展覧会の目玉ともいえるもう一つの傑作。
ニューヨーク近代美術館所蔵の《夢》です。
まさに画家自身の心の中に広がる原色の森をキャンバスに描き出したといえる素晴らしい絵画でした。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 ポストカード 夢

会場を出た先がグッズ売場となっていました。
さっそくポストカードを購入。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 グッズ ポストカード
さらに以下のペーパーウェイト(19ユーロ)の美しさに心惹かれて思わず購入しました。
アンリ・ルソー展 2016 オルセー美術館 グッズ ペーパーウエイト


ご興味を抱かれた方は是非。

オルセー美術館公式サイト
http://www.musee-orsay.fr/en/home.html



この度、パリの美術館案内をAmazon Kindleにて出版致しました。
パリ旅行のお供に是非。



下記YouTubeサイトにて本の紹介動画も公開中です。

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